日本は世界に先駆けて高齢社会を迎え、今では平均寿命が約80歳となっています。しかし、高齢化が進展するにつれ、体の自由が十分にきかない状態で社会生活をおくる高齢者の数が増えています。
「ロコモティブ」とは移動能力があることを意味する言葉で、「ロコモティブシンドローム」とは、運動器の障害により、基本的な運動能力が低下している状態を指します。運動器とは、骨、関節、筋肉、靱帯、神経といった人間のからだの動きを担当する組織・器官のことです。その運動器のいずれか、もしくは、それらのいくつかに障害が起こると、やがてバランス能力・体力・移動能力などが衰え、立ったり歩いたりといった日常生活の中で行う簡単な動作が困難になります。その際、適切に対処しないと、運動器機能はさらに低下していき、最悪の場合は寝たきり状態になるおそれもあります。
▼平成25年の厚生労働省の調査によると、要支援・要介護となった方の原因の上位は次のとおりです。
2位 脳血管疾患(脳卒中) 18.5%
3位 認知症 15.8%
4位 高齢による衰弱 13.4%
日常生活の中のあらゆる動作は運動器の働きによって行われますが、加齢とともに体のあちこちに不調が現れ運動器機能の衰えも進みます。高齢者はロコモティブシンドロームになりやすく、転倒して負傷したことをきっかけに寝たきりになったり、体の痛みをかばううちに筋力が落ちたりして、介護が必要な状態につながりやすいのです。実際、85歳以上で要支援・要介護状態の人は60%近くにものぼるのが現状です。
高齢者の運動器障害は、複数の病態が複合し、連鎖するので、運動器の障害を、個別の病気としてだけではなく、移動能力に注目して総合的に考えようというのがロコモティブシンドローム(ロコモ)の意義であり、超高齢化社会を見据え、日本整形外科学会が提唱している概念です。運動能力の加齢による衰えは仕方のないことですが、完全に寝たきり状態になる前に、できる対策は取りたいものです。
ロコモティブシンドロームかどうかのチェックポイントとして、日本整形外科学会が挙げているポイントは次の7点です。
2. 家のなかでつまずいたり滑ったりする
3. 階段を上るのに手すりが必要である
4. 横断歩道を青信号で渡りきれない
5. 15分ぐらい続けて歩けない
6. 2キログラム程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
7. (布団の上げ下ろしなど)家のやや重い仕事が困難である
ご自身の運動器機能の不具合に気づいたら、整形外科専門医にご相談ください。